どうも。元香春町地域おこし協力隊の手島です!
任期中に「協力隊新聞部」という団体をつくり、地域おこし協力隊をつなぐための新聞を発行しています。
新聞名は「つながりタイ新聞」!今まで4号発行していて、県内60の自治体に配布されています。

【過去のインタビュー記事】
1号:「つながりタイ新聞」→‘元’城島町地域おこし協力隊 宗司さん
2号:「つながりタイ新聞#2号」→八女市地域おこし協力隊 山内淳平さん
そして今回のインタビューは宗像市地域おこし協力隊の林由佳理(はやしゆかり)さんです。通称「宗像のあまちゃん」として本田藍さんと18年4月から海女生活をスタートさせています。
今回は二部構成のインタビューにしていて、前回は、林さんが地域おこし協力隊の「海女ちゃんになるまで」をお伝えしました。
二部では、林さんが語る「謎多き海女の世界」をテーマに紹介していきます。
「謎多き海女の世界」目次
漁の年間スケジュール

引き続きお話聞かせてください。海女漁の1年間のスケジュールを教えてください。どの時期に何が採れるとか知りたいです。

はい。私たちが狙う獲物は季節や月で違っていて、わかめ、うに、あわび、さざえ、なまこなどです。
とれる時期は鐘崎のルール(鐘崎の磯組合)で決めています。ざっくりとしたスケジュールはこんな感じですね。
1月:休漁
2月〜4月:わかめ
4月〜6月:ウニ
6月〜9月:あわび、サザエ ※9月は沖の島で漁が可能
10月、11月:休漁
12月:なまこ

夏はいいとして、冬は寒いでしょうね。

ウェットスーツ着込んでやってます。寒いですよ。





これを素潜りでとるんですね〜すごいな〜
一週間のスケジュール

年間スケジュールはわかりました。漁ごとの仕事日はどうやって決められるんですか?土日休みとか?

いやいや、土日休みなんてまさか。
今の時期はアワビ・サザエ漁なんですが、2日間海に入り、2日間休みというローテーションになります。
例えば、今日と明日は仕事で漁に入るので、明日明後日は海に入れません。海産物は限りある資源でもあるのでルールを作ってそれにそって海女漁をしています。
入れる日は天気にも左右されるんでなかなか先の予定を立てづらいんですよ。

雨とか降ったらダメなんですか?

少々の雨だったら行きますよ。ただ雨が降って海がにごると獲物を見つけるのに苦労するんですよ。あと海が荒れると危ないのでそこは天候よりも海の状態次第かと。
今年は台風が多かったから(8月前半)けっこう海に入れない時期が長かったですね。

そんな時はどうするんですか?

休んだりですが、漁に出ない時も色々やってます。週に一度はあまちゃん食堂で働いたり、企画やイベントに出たり、加工品を作って稼ぎのネタを探しています。

おお!協力隊っぽくなってきた!

あまちゃん食堂、マリンワールドでの海女ショー、相棒の本田藍ちゃん、加工品作りを説明しますね。
あまちゃん食堂

18年の7月29日に「あまちゃん食堂」がオープン。鐘崎漁港で水揚げされた海産物を使った料理を提供しています。旬の食材を使ってますので季節限定が多いんですが、今までのメニューです。アナゴ丼は常時やってます!
・アナゴのかき揚げ丼(常時)
・フグのあら汁、フグのかき揚げ(季節限定)
・宗像サザエカレー(季節限定)
・サザエ飯定食(季節限定)
・サワラ飯定食(季節限定)
※季節や漁によってメニュー変更。なくなり次第終了

宗像市鐘崎778-5 (活魚センター向かい)



売り切れ次第終了です‼️
マリンワールドで「海女ショー」を披露

6月には海女ショーを披露しました!私は説明。同僚の藍ちゃんが水槽で漁の様子を披露しました!
日本海の海女発祥地とされる宗像市で「宗像のあまちゃん」として昨年から修業中の本田藍さん(32)=京都市出身=と林由佳理さん(35)=愛知県知立市出身=が6月8、9日、東区のマリンワールド海の中道の外洋大水槽で、サザエ漁の実演など「海女ショー」を初披露する。2人は「楽しく見ながら海女漁の歴史や海洋の生態を知ってほしい」と張り切っている。
「本田藍さん、林由佳理さん奮戦 漁実演、ショー初披露」より

あ、この二人が付けているのは磯メガネ・・・!

このイベントの時に昔ながらの格好で撮影したんですよ。そしてこの「海女ショー」の企画・提案したのが、同僚の本田藍ちゃんです!

彼女は企画が作れて、海の生物に詳しくて、ジオラマを作ったりするナイスなスーパーガールです!

ほうほう、なるほど。本田さんのツィッター面白いですね。今回は話を聞くことができませんでしたが、ぜひまたお話伺わせてください。みなさん、本田藍さんも要チェックですよ!
サザエのアヒージョ・ウニ染・海女漁ステッカー

食堂、企画ときてこんなこともやってます。
卒業後の仕事作りのために加工品も作りです。
今考えているのは、サザエのアヒージョ瓶詰め、ウニの殻からの染め物とかの商品化に燃えてます!

サザエのアヒージョはもう、何て言うか間違いないですね。林さん達がアヒージョにする過程を1分くらいのyoutubeにして、商品にQRコード貼ったら、買い物客がその動画見て買うか!ってなっている映像が見えます!僕には見えます!

見える、、見える、、、見えるんだ、、、、、、
ふー(深呼吸)
というか、ウニで染め物なんてできるんですか!?それもすごい!

そうなんです。きれいなピンク色が出るんですよ。ウニ漁の時期はウニの身をとったらその殻は捨ててしまっています。海に帰っているので環境的には問題ないんですが、たくさん廃棄されるウニの殻をどうにか使えないかと思って染め物の線を探っています。
試行錯誤中です!


他にも本田さんと共同で、海女漁で採ったもの海産物をブランド化したいと思ってます。「海女漁で採りましたステッカー」を考えています。
まだ出来てないので、写真とか何もないですが想像できますか?


そうそう

加工品作りの話を聞いてピンと来たあなた(デザイナー、染色家、販売ノウハウなど)!
ぜひ、林さんの助けになってあげてください!「宗像のあまちゃん」の連絡先はこちら→facebookへのメッセージ
貴重な動画

林さん、せっかくなんで海女漁している写真とか動画くださいね。

・・・・それが・・・あんまりないというか・・・・渡せないというか・・・

え!?なんでですか?

写真や動画からどの場所で撮影されたかわかると密漁につながる恐れがあるんですよ。
実際に海から撮影した山の形である程度の場所が特定されたりもしますし。
ですから、記録よりも記憶に残すことが大事なんですよ!
それに私たちは修行中の身なので、漁をすることに一生懸命でとても撮影までの余力はありません。

むむむ、残念。確かに色々検索したんですが、他の地域でもそのあたりの情報少なかったです。

代わりといっては何ですが、雰囲気がわかる動画も以前撮ってもらいました!

これは貴重ですね!
知られざる海女の世界

ここからはインタビューで出た海女の世界の断片情報をトリビア形式でお送ります。
トリビア①安定のウニか宝探しのアワビか論争
潜れば大量に取れるウニは安定的な漁獲量が見込めます。その代わりに、ウニをとって殻を割ってウニ版に載せないと売れません。なので、ウニ漁の時は朝は海入って、昼は加工して・・・と安定ながらも忙しい日々を送るそうです。
逆にアワビなんですが、量は取れないものの、加工せずにそのまま買い取ってもらいかつ値段が高い!なので宝探し感覚で海に潜るそうです。だんだんアワビの場所がわかってきたり、狙ったところにアワビがあったときは幸せになれるそうです。
一年間ウニかアワビどちらかしかとれないならどっちがいい?という無益な質問をしました。林さん的には宝探し感覚の「アワビ」がいいと。
地形を読み切れるか!?が上達の鍵
すごいと言われる海女になるには、「肺活量」や「泳ぎ技術」の要素も必要ですが、一番大事なのは「地形をよみきれるか」が重要とのことです。海面からは見えない海の中の岩場、潮流を読むことでどこにお目当の海産物がいるかわかり、そこに狙いを定めて無駄なく潜るそうです。
結果同じ時間潜っても採る量に違いが出てきます。
特にベテランほど読みきる力がすごく、「ベテランがいるところにいい漁場あり」とも思われているそうです。ベテランはそれすらも逆手にとりフェイントをかけてくることも。。。同じ漁業の仲間ですが良い意味でのライバルでもありますね。
イルカ並みの肺活量を誇る海士さん親子がいるそうです。
恵比寿様とカギンチョ
漁場で行う海女さんの験担ぎがあります。それはカギンチョと呼ばれる漁の道具で「カン、カン」と船を叩いて海に潜るというものです。

これは安全祈願、大漁祈願を恵比寿様にお願いするためです。
今後の活動に向けて

海女の世界は面白いんですが、そろそろインタビューも終わりに近づいて来ました。海女のトリビアで終わってしまうのもどうかと思いますので、最後はしっかり地域おこし協力隊「つながりタイ新聞」の趣旨に戻って質問しますね。

あっと言う間でしたね。

協力隊は3年間が任期で今折り返し地点です。残り任期残すとこ1年半弱ですが、任期後どうしていきたいですか?

協力隊活動の難しいところは何をやるかを自分で考えて行動していかないといけないところです。
逆に言うと、今の時期は「好きなことを掘り下げる時間」があります。漁が終わったあと、休みの日などの時間を使って任期後の収入となるような加工品をこの2年目、3年目で作っていきたいですね。
あ、もちろん海女漁を覚えるのが先決ですが。

なるほど。インタビューありがとうございます!今度、あまちゃん食堂にアナゴ丼食べいきますのでよろしくお願いします!
決して潜っている場所は写真撮らないので。
これからの活躍も期待しています!
編集後記
今回の「つながりタイ新聞5号」では宗像のあまちゃんこと林由佳理さんに話を聞きました。
地域おこし協力隊で言うところの「事業継承」に近いポジションでしょうか。
伝統は制度では続かないという声を以前別の地域の人から言われたことがあります。
それもその通りだと思う反面、伝統が苦手な部分(例えば、PRや人の募集、新しい考え)を地域おこし協力隊という制度が助ける場面も何度も見てきました。
課題があるのならば何らかのアプローチをとらないと解決には向かいません。その一つの方法として地域おこし協力隊で入った隊員が活躍してくれればと思う今日この頃です。
今回は二部作でインタビュー記事を書かせてもらいました。みなさん、ぜひ宗像市の鐘崎漁港にあまちゃんに会いにきてください。
それでは。